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 人類はこれまで二度の世界大戦を経験している。いずれもその直前には関係国が共に病んでいた。病んだ社会が世界を、むしばんだ。
 人はときどき病気に襲われるが、人の集まりでもある社会もまた病から逃れることはできない。
 資本主義経済が行き詰まり、失業者や貧困層が増えてくると、必ずといっていいほど勇ましいことを言って人々を一方向に持って行こうとする政治家が現れる。
 これらの政治家が名医のふりをして、この社会的なガンを取り除こうとすると、結果は患者の死が待っている。
 どうも、今、3番目の患者を治療しようとする迷医が各国であらわれ出で、メスを振るおうとする直前のような気がしてならない。

 迷医たちはまず、不満の原因である経済を立て直そうとする。そのために一番手っ取り早いことは武器兵站(へいたん)品を製造して売ることであろう。ご存じのように武器兵站品には食料や衣服から航空機はもちろん人工衛星まで含まれるゆえ、あらゆる産業振興の起爆剤となる。第二次世界大戦後のアメリカは順次局地戦を起こしながら、この方法で国力を保ってきた。
 何でもアメリカ政府のまねをしようとする日本政府が、これまでこの方法をとることができなかったのは憲法第9条を最低線ながら守っていたからである。ところが、突然勇ましいことをいってメスを振いたがる迷医が表れ、その箍(たが)を外そうとして麻酔をかけ始めた。まだ麻酔液は注入される前なので、患者自身が注射針を引き抜くことはできるのであるが、迷医はすでに手術の準備を着々としている。
 これまで日本は武器輸出三原則を掲げて厳しく武器の輸出を制限してきた。ノーベル平和賞にも価することであろう。しかしそれは2014年、安倍政権によって事実上破棄され、15年9月のロンドン兵器見本市で日本は初めてブースを構えた。その裏では一獲千金を狙う武器商人たちが、手ぐすねを引いて待っている。 
 政権側は「普通の国になっただけ」というが、これでこの国は社会的病巣、すなわち小さなガンを持ったことになる。ご存じのように、ガンは、はじめは宿主から栄養を盗み取っているが、次第に宿主を追い詰め、やがては宿主と共に自分自身をも滅ぼしてしまう・・・。
 
 この社会的なガンと、それを扱う迷医の記事をお読みいただきたい。


1 信濃毎日新聞
信濃毎日新聞
「平和は困る」武器商人たち  
ジャーナリスト 小林和男