FC2ブログ
      もぎりよ今夜も有難う

      片桐はいり   キネマ旬報社



1 もぎりよ今夜も有難う
もぎりよ今夜も有難う


 最近の若い方はどうか知りませんが、私たちの年代では「もぎりよ今夜もありがとう」と言えば、すぐに「夜霧よ今夜も有難う」のパロディーだとわかります。

 「もぎり」がわからないかたもいるでしょうか。
 
 入場券の半券を「しっちゃぶく」ことを「もぎり」と言います。

 著者も「しっちゃぶく」という言葉を使って説明していますが、券を指の間に挟んで、きれいに、滞りなく、素早く行うには、それなりの技術が必要とのこと。


 目次をよく見ると、すべてのエッセイは映画タイトルのパロディーで示されています。

 これだけで、この著者の文章水準が並々ならぬことが、おわかりでしょう。

 著者は女優の片桐はいりさん、学生時代から映画館でアルバイトをしていた方で映画への、そして映画館への思いが、あふれるあまり今でも、その現場を訪ね歩くそうです。


 なんと、その映画館とは私も散々通った銀座文化でした。

 3丁目や6丁目のシャンソン喫茶ボヌールの演奏が夕方終わり、夜8時すぎに始まるクラブの仕事までの間に何べん行ったかわかりません。

 驚いたことに、渥美清さんが「男はつらいよ」の最終上映日には必ず見に来ていたとのことです。

 とすると、私も暗闇の中で渥美さんに会っていたのかもしれません。 

 ほかにも歌舞伎座が近いせいか、ビッグスターがよく現れたそうです。

 もちろん、周辺のおいしいお店や、裏路地の老舗のことなど、銀座の風物も満載。

 私の知っていること、知らなかったこと、これからの銀座や映画に対する期待などが至れり尽くせりの文章で綴られています。

 こんなにも楽しい思いをさせてくれた著者に対してお礼を言いましょう。

 「もじりよ今夜も有難う!」

 これも若い方は、わからないかなぁー。

 「もじり」とはパロディーのこと。


 名前の「はいり」は「入り」のもじりと思ったら、アルプスの少女「ハイジ」のもじりとのことです。

そういえば豊かな表情がそっくり・・・。


2 目次
目次

3 目次
目次

4 「男はつらいよ」最終上映日
「男はつらいよ」最終上映日