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    がん哲学外来へようこそ

    樋野興夫         新潮新書 655


とがん哲学へようこそ(1)
がん哲学外来へようこそ


  「がん哲学外来へようこそ」は恩師原保雄先生が活動をしている「がん哲学外来」というボランティア団体のバイブルともいえる本です。

 著者の樋野興夫(ひのおきお)氏はもちろん、がん専門の医学博士ですが、がんは、医学的処置だけでは患者や家族を救うことができないと思ったそうです。

 また、健康な方でも親類や友人が、がんになった時、なんと声をかけたらよいのか分かりません。

 私もそうでした。
 同級生の新堀君はあまりにも急激な進行がんで声をかけることもできませんでしたし、田口君の場合も、お見舞いに行ったのはよいけれど、なんといって声をかけてよいのかわからないのです。
 いつもそばについている同じ同級生の弘子ちゃんに聞いてみると、「なんにも言わなくていいんだよ。心は通じているんだから」といわれました。いわれる通りに黙って手を握るだけで帰るしかありません。
 何回か行っているうちに弘子ちゃんは、なんということはない世間話しに私を混ぜてくれました。がんばれとか、お大事に、とかはいいません。
 弘子ちゃんは同級生にとって女神のような存在なのです。困っている人がいれば相談にのり、病気になった同級生がいれば、すぐに看病に駆けつけてくれます。
 特に配偶者が病弱だったり、いなかったりした場合のケアは配偶者でも、ここまではできまいと思うほど手厚いものでした。

 私は弘子ちゃんから、この「がん哲学外来へようこそ」に書いてあるようなことを学びましたが、弘子ちゃんのような方は、まれにしかいないでしょうから、皆さんは、この本を読んで学んでください。

 同じ「頑張ってくださいね」と言っても、患者さんを傷つけてしまう人と、患者さんを心から慰める人とがいるそうです。
 その違いは何か。それはその人の人間力であり、その人の存在感、とのこと。同じような能力は動物でも持っており、セラピー犬などは下手な人間よりもすごいそう。

 「がん哲学外来」のモットーは「偉大なるお節介」を焼くこと。相手にとって大切なことは何かを考え、相手の必要に共感したお節介が、「偉大なるお節介」です。

 弘子ちゃんは、なんという「偉大なるお節介」屋さんなのでしょう。

 そして、原保雄先生も・・・。


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とがん哲学出ようこそ3
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