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         よみがえる力は、どこに

   城山三郎                     新潮社


 本書は著者の講演を8編のエッセイに構成した「よみがえる力は、どこに」を中心に、遺稿や対談を編集したものです。

 どの作品を読んでも、充実した内容と共に著者の誠実な人柄と何事にも屈しない強い意志が偲ばれ、心が奮い立つ思いがしました。

 巻頭エッセイ「魅力ある人間の育て方」の中に、少しだけ私にも関係のあることが出ています。

 作家の村上龍さんのお父さんは、九州の高校の先生なんです。龍さんは高校時代にぐれて、警察の世話にもなり、やがて故郷を捨てるように東京へと出てきます。お父さんにしてみれば、面目も潰されたし、腹立たしいし、心配だしというところでしょうが、とにかく彼は東京の龍さんへ葉書を出し続けたというのです。それも叱責とか心配とか愚痴を書くわけではなく、別に何でもない、「最近こんなことがあった」と報告するだけの葉書。毎週毎週、実に七年間、何百通も出し続けた。お父さんも偉いのですが、龍さんも偉いなあと思うのは、これに一度も返事を出さなかった。
 でも、お父さんから信頼はたっぷり伝わったと思うのですね。これが父親の愛情表現だなあ、と私は感じます。母親だと、葉書を三回くらい出しても息子から返事がなかったら、「何してるの、なんで返事を寄越さないのよ」って電話がかかってきそうです。実は学生時代の私の母親がそうでした。男の子は、それも大学生になると、郷里の親からの手紙なんて、読むにはしても、つい放っておきますよ。龍さんのお父さんは、息子から返事がなくても全く意に介さなかったのです。(P-14)


 ちょうどそのころ、村上龍氏は、私(市村)がエレクトーン講師を勤めていた世界貿易センター14Fのヤマハ東京ミュージックセンターで講習会やコンサートの準備をするアルバイトをしていました。

 その間に才媛にして美貌のエレクトーン講師 T・Tさんを見初め、結婚したのです。

 その後の活躍は多くの方々が、ご存じでありましょう。

 著者も私も、何を言いたいかというと、最大の愛情、そして最高の教育は「ゆるぎのない信頼」と、いうことです。


1 よみがえる力は、どこに
コメント
この記事へのコメント
親子のつながりってどれが良いって言えないくらい沢山の愛情表現があります。
家族の数だけある訳で外から見ただけでは本当にわからない。
父と母でも違うし、恨みながらある時突然ハッとする時もあり、大人になって親の立場になってわかる事もあるし、子を持って知る親の恩とか、わかった時は親はなしとか、だいたい後から感じ取るものが多いです。
今の時代は過剰な愛情になったり、しつけとして虐待になったり極端です。
スピードの時代なのでゆっくり考えたりゆったりした気持ちになったりすることが出来ません。
皆カサカサとした心で潤いのない悲しい世の中ですね。
親子の関係もとても難しいです。
私も子供との関係を模索しています。
2015/02/11(Wed) 21:48 | URL | hana | 【編集
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