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       さらば、欲望の国

      近代文芸社    中村敦夫


 著者の中村敦夫氏は、あの「木枯し紋次郎」を演じた方です。

 俳優としての他にも多才な側面を持った方で、特に参議院議員に当選後、党名を「さきがけ」から「みどりの会議」に変更し、その代表委員に就任したことで覚えている方も多いことでしょう。

 その時の思想的裏付けである「緑の国」構想を解りやすく論じたものがこの書籍です。

 しかし、本文の殆どは政治・経済そして社会的な批判に満ちていて、肝心な本論は前書きと後書き、それに最後の「3Sとは何か」でしか示されておりません。

 ところが、その批判・批評が内部告発を含め、的を射ており、すこぶる痛快で一つひとつ納得してしまうのです。

 たとえば、今、北方領土問題で再び浮上してきた、鈴木宗男氏の何たるか、などは一目瞭然。そのプーチンさんと同じような疑惑に満ちた手練手管にも一節立てています。

 他にも、

 つまり、近代日本には、人格を持つ最終責任者が存在しないということです。 (外務省は)すべての責任を(鈴木)宗男氏にかぶせ、自分たちに火の粉が飛んでくるのを防ごうという魂胆が読み取れました。31頁

 過去の戦争責任者すら、今もって誰であったか不明ですし、バブルを仕掛け、日本経済を破滅させた責任者も不明です。
 責任を取ることはないが、権力だけが行使される官僚システムが、国や社会を運営しているからです。
 人々は、顔のないシステムによって管理され、行動している。まことに奇妙な国というべきです。58頁

 つまり、経済大国を目指せば、結局は軍事大国にならざるを得ないのです。
 長い間、日本だけが例外のように見えてきました。
 大戦後の日本は、平和憲法をたてに、軍事紛争にまき込まれることなく、奇跡的な速度で経済成長を遂げました。ある意味では、うまいやり方でした。しかし、その経済力が米国を脅す勢いになったところで、まんまと罠にはまりました。バブルをけしかけられ、国際金融市場で丸裸にされたのです。150頁
 
 というように告発や視点が実に興味深く、勉強になるので、それだけでも十分に満足してしまいます。

 その上での「みどりの国」構想ですから、薄い本ながら、お腹いっぱいになること間違いなしでしょう。


1 さらば、欲望の国
さらば、欲望の国

2 目次
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3 目次
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4 まえがき
まえがき
コメント
この記事へのコメント
俳優として知っていますが政治家とは知りませんでした。

政治家は全うな人間では務まらないと思っています。

国民の為・都民の為・誰々の為・聞こえは良いけど皆自分の名声と欲のためでしょう。

それがわかっていて投票している私も馬鹿だけど・・・
2016/12/21(Wed) 03:42 | URL | hana | 【編集
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