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           東京23話

      山内マリコ    ポプラ社


 山口マリコさんは1980年生まれ、まだ若いのに何と巧みな言葉づかいをするのでしょう。

 東京23区を一つずつ取り上げたこの「東京23話」は 1話ずつ異なる文体を使っています。

 千代田区などでの「ですます」調はもちろん、中央区は「ございます」、港区は「イカしてる」など、かつての若者言葉で、文京区は「吾輩は猫である」調、墨田区は江戸言葉、品川区は落語口調そのもの、そして、足立区はビートたけし調、葛飾区は、なんとフーテンの寅さん調です。

 ここまで、いろいろな文体を使い分けたエッセー集はみたことがありません。

 ふつう、一人の書き手は一つの文体を死ぬまで使うものです。

 独特の文体を確立すれば、それだけでその作家は成功したといえるでしょう。

 放送大学で教えていた小沢昭一は学術書・エッセー・物語などのすべてをTBSラジオの「小沢昭一的こころ」の話し言葉そのもので書いています。

 それは、一度読んだだけで、忘れられず、すっと頭に入り、言わずもがな「こころ」に響くものでした。

 ・・・ということで、この本は、これから自分の文体を確立しよう、とするひとにとって的確な教科書になるでしょう。

 特に学術的なことを、かみ砕いて表現しようとするかたの・・・。

 なお、杉並区には井伏鱒二・横光利一・太宰治・三好達治・上林暁・亀井勝一郎など多くの作家が居住していましたが、著者の山内マリコさんは、たった1人、石井桃子にだけスポットを当てています。よほど石井桃子に思い入れがあるのでしょう。

 「東京23話」の初出は東京新聞に連載されました。東京新聞の優れた見識が伺われます。


 1 東京23話
東京23話

2 杉並区 1
杉並区 1

3 杉並区 2
杉並区 2

4 杉並区 3
杉並区 3
コメント
この記事へのコメント
山内マリコさんは全然知りませんが表紙を見ただけで楽しそうな本ですね。

読みやすそうです。
2017/07/11(Tue) 19:37 | URL | hana | 【編集
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