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         羊と鋼の森

      宮下奈津     文藝春秋


 ピアニストにとってピアノは友達みたいなものです。友達はいい友達ばかりとは限りません。まわり中いい友達ばっかりだったら世の中面白くないですよね。悪い友達とどう付き合うかが人生の妙というものでありましょう。

 ピアニストとピアノの付き合いもまったく同じです。悪いピアノにあたったときに、そのピアノにあった能力をできるだけ引き出すことができたなら、そのピアニストは名人と言えるでしょう。
 それは速弾きすることでもなく、大音量で弾くことでもなく、複雑な和音を使うことでもありません。なでるように、だましだまし、出ない音は1オクターブ上下して、とにかく細心の神経を使うのですが、逆に狂った音をわざと使うこともあります。しかも時には半音上のキーで弾かないと他の楽器と合いません。米軍基地のピアノなど皆そうでした。

 ところが今では、そういう悪いピアノに出会うことは、まずありません。
 それは、日本では高い品質のピアノが生産され、優秀な調律師がいつでも身近にいるからでしょう。

 本屋大賞を受賞し、映画にもなるというこの「羊と鋼(はがね)の森」は、その調律師の知られざる世界を小説にしたものです。

 タイトル中の羊とはハンマーの先についているフェルトのことで、昔の羊の毛の方が質が良かったそうです。鋼(はがね)はピアノ線のことで、現在のほうが上質。森とは木枠や鍵盤のことでしょう。弦楽器や家具やスキーなども含め、原材料を森に依存するものは、今では品質を維持することがなかなか難しいようです。

 ほかにも、私の知らなかったことが数多くちりばめられていました。

 ピアニストだけではなく、音楽に興味のあるすべての方が読んでみて、決して後悔はしないでしょう。


1 羊と鋼の森
羊と鋼の森

2 代表見本
代表見本

3 代表見本
代表見本

4 代表見本
代表見本

5 代表見本
代表見本

6 代表見本
代表見本
コメント
この記事へのコメント
ピアノに関しては全然解りませんが人間関係は70年も生きてくると色々なことを経験してきます。

でも若いときと違って嫌な人とのお付き合いはもう沢山。

気力も体力も無く戦う気も無いからです。逃げるが勝ちで避けます。

出来ればゆっくりした気分で毎日が送れることを常に願っています。

限られた日々楽しいことが多いことを願って豊かな気持ちで過ごしたい。

見えない神・仏に手を合わせています。

自然体で次の世にいけますように。
2017/09/06(Wed) 07:02 | URL | hana | 【編集
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