FC2ブログ
      世阿弥 風姿花伝

     土屋惠一郎    NHK出版


1 世阿弥 風姿花伝
世阿弥 風姿花伝


 世阿弥の風姿花伝を初めて読んだのは高校生の時でした。

 その岩波文庫版は今でも取って置いてありますが、字は小さく、紙も印刷も悪く、注釈も解かりにくく、よくもまあこんなものを読んでいたものだと思います。

 その時代にはそれしかなかったので別に我慢するつもりもなく、当たり前だったのでしょう。

 それと比べると、今回のNHK出版のものは目を見張るような出来栄えです。

 何よりも編集がすばらしい。世阿弥の残した4つの名言を柱にし、そこに建築部材をはめ込むという手法はなかなかできるものではありません。本文はそういうふうにはなっていませんから。

 さて今回は3本目の柱「離見の見」についている部材である「溜め」について掘り下げてみましょう。

 実はこれまで「言葉以前の世界 音楽以前の世界 絵画以前の世界」「言葉よりも大切な物」「言葉は沈黙から生まれる」「森山威男 スイングの核心」などの記事をブログアップしましたが、それらはみなこの焼き直しというか、受け売りなのです。

 世阿弥のすごさは、一調(いっちょう)二機(にき)三声(さんせい)という「溜め」は声の出し方だけに留まらず、舞い方はもちろん動作の全てにあるということを600年も前に理論づけていること。

 そしてそれが能だけでなく、日本の武道や芸事全般に当てはまるということです。

 相撲は「溜め」の固まり。どこまで溜めれば気が済むのかと思うくらい溜める。

 ・・・が、その溜め方をよく見ると、どちらが勝つのか分かってしまう。

 柔道や剣道も溜め方を見れば、どちらが攻撃するか一目瞭然。

 落語も溜めて溜めて溜めまくり、最後に突き放す。

 歌舞伎は見えを切るのも大向こうの掛け声も溜め。

 加えて、この「溜め」は世界中の芸能・スポーツにも共通性があるということがお分かりでしょう。

 例えばタンゴなどの社交ダンスやハワイやタヒチなどの民族舞踊、ジャズ・サンバ・ガムラン・ケチャなどの音楽や、サッカー・野球・スキーなどのスポーツ、そして腹話術や曲芸など、多くのものは「溜め」がなければ成り立ちません。

 先ず、溜める。そして、吐き出す。

 先ず、貯金。それから、買い物。


2 目次
目次

3「溜め」について
「溜め」について

4 風姿花伝 岩波文庫版
風姿花伝 岩波文庫版

5 書き込み
書き込み
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック